圣笼町立图书馆
「風のまち」の「本のまち」
聖籠町は、新潟市に隣接する面積約38km2、人口約1万4千人の小さな町です。冬場には北西の日本海から冷たい風が吹きつける厳しい気候で、風から民家を守る屋敷林が点在し、ほぼ平坦な地形の中に田んぼや果樹畑が広がり、ぶどう棚やさくらんぼのビニールハウスなどの風景の先には、南東方面に飯豊連峰を望むことができます。
市町村合併をせず、コンパクトな地域コミュニティを維持していますが、町の中には駅がなく、車での移動が主体となっているため、町の人々が集う中心市街地のようなものがありません。
今回の計画は、そういった町の初めての独立図書館です。商店街のように人々が集まり、交流する場所になることを目指し、「『大屋根』の下の『本のまち』」をつくりました。
風景(wind・scape)をつくる大屋根
屋根は低く抑えた軒下がアプローチとなっており、冬場に吹く冷たい北風を受け流すと同時に、訪れる人を迎え入れるような形態としました。昼間は屋根に挟まれたハイサイドライトからやさしい光を取り入れ、夜間は温かく光る町のランドマークとなります。
メインストリートに沿ってにぎわいを生み出す
大屋根の下には開放的な大空間が広がり、西側の児童開架スペースと東側の一般開架スペースをメインストリートがつなぎます。
メインストリート沿いにさまざまななスペースが並び、子どもからお年寄りまで、町中の人々が集まれる市場のようなにぎわいをつくりだしています。
書架やカウンターをまとった「ハウス」
事務室、飲食スペース、会議室、おはなし室などの諸室を「ハウス」と名付けて配置しました。ハウスは、壁面書架やディスプレイボード、カウンターが一体化した外周を持つ、一軒の住宅のような形とスケールを持っています。
設計者からの一言
この「本のまち」に、聖籠町のものを全て詰め込みたいという思いを込めて設計しました。この地方に残る個性を引き立たせていくことができれば良いと思います。
摄影师:井上登