Nanbu Town National Health Insurance Saihaku Hospital
患者さんの早期離床を促す街につながる病院づくり
「病院の中に街並みを」・「街並みの中に病院を」
街並みになじむ切妻屋根。瓦庇の街並みを取り込んだ総合受付。和紙の光天井の待合ホール、街角のレストラン、地域交流ホールなど、「地域に開かれた病院」をめざしました。
懐かしい街並みを再現した治療の場「思い出街道」
認知症のお年寄りの治療や憩いの場として、南部町のいにしえの街並みを再現しました。「回想法」のツールとしての効果を継続調査します。
見守りができる安心の庭「ガーデンテラス」
精神科や高齢者など、見守りが必要な患者さんの療養・憩いの庭として、病棟前の屋根を緑豊かな空中庭園「ガーデンテラス」として整備しました。
光庭を中心とした「わかりやすい病院」
三角平面プランの中央に水琴窟のある光庭を設け、各部門はそのまわりを取り囲むように配置しました。光庭が目印となり、初めての患者さんにもわかりやすいよう配慮しました。
木のぬくもりの「坪庭型病室」
精神科も含め、全ての病室で全員に窓のある坪庭型の個室的多床室としました。
夏は上から冷房、冬はじんわり床暖房としました。棟廊下には畳の縁台やアートを配し、早期離床を促すよう配慮しました。
災害に強い病院
鳥取西部地震の被災経験から免震構造を採用し、安全性を高めました。地下水利用や非常用発電などの設備とあわせ、災害に強い病院としました。
設計者からの一言
既存病院を運営しながら現地建て替えをしました。 既存建物と隣接した工事でしたが、安全とライフライン確保に配慮し無事完成。既存建物の駆体を現地プラントで再生砕石とし、駐車場の路盤材として有効利用しました。
治癒効果を高める「思い出横丁」
「地域に開かれた病院づくり」のアイデアや「思い出街道」のデザインは、米子高専熊谷研究室、千葉大学中山研究室との協同で行いました。
実現にあたっては、町民代表や老人クラブの皆さんとのワークショップを通じてかたちにしました。
県産原料を用いた和紙照明
中央待合ホールの光天井の和紙シェードは、京都のデザイナー堀木エリコさんの作品です。県産の原料で地域に根ざしたものとしていただきました。夜を徹しての現地取り付け作業のおかげもあり、すばらしい出来栄えです。
Photo:エスエス大阪