Kawasaki Art Center アルテリオ小劇場・アルテリオ映像館
芸術のまち 新百合ヶ丘の「コア」をつくる
「コア」の3つの機能
芸術のまちづくりの動きや地域に根付いた独自の文化・芸術資源を活かした「しんゆり・芸術のまち構想」を継承したコンセプトを基に、3つの機能を提案しています。
- コラボレーション機能(芸術を育む)
- クリエーション機能(芸術を創る)
- プレゼンテーション機能(芸術を楽しむ)
3つの機能を3つの空間に取り込む
各機能を「映像」、「演劇」、「パブリック」の3つの空間の中に取り込み、それらが独立しながらも相互に影響しあいシナジー効果を発揮できるような空間構成としています。具体的には以下3つの施設を収容しています。
- アルテリオ映像館-映像
- アルテリオ小劇場-演劇
- コラボレーションスペース-パブリック
3つの空間の配置
映像ホールは敷地南側、演劇ホールは敷地北側に配置し、中間にエントランスとコラボレーションスペースを配置しています。主要動線としては、施設中央の大階段からアプローチし、2階で左右に移動するわかりやすい計画としています。また映像ホールは南北軸から45度振って配置し、交差点のからの視認性をより高めています。
玄関まわりをすっぽりと覆う大きな屋根
2階エントランスへの導入空間である大階段を大きな屋根とルーバーで覆い、溜まりのスペースをつくっています。この大屋根は雨除けや日射の制御といった機能だけでなく、外部と内部の中間領域を創出し、大階段を人々の触れ合い創造空間に変える装置として機能します。
ガラスの円筒形シャフトとカーテンウォールによる演出
シンボリックなガラスの円筒形シャフトは、遠方からの視認性を高め、施設の存在感を高める役割を持ちます。また、市民を施設内に迎え入れるように柔らかな曲線をもったエントランス外壁はガラスのカーテンウォール(アートスクリーン)とし、垂幕やサインの設置、映像の映し込み等により、さまざまな活動や情報を発信する装置として機能します。
本格的仕様の映像ホールと小劇場
映像ホールは黒と濃紺をベースとしたインテリアに真っ赤なイスをセットし、落ち着いた中にも映像への期待感を高めるような空間としています。演劇ホールは十分な天井高さと奥行きを確保し、黒をベースとしたインテリアにまとめ、ブラックボックスの空間としています。コラボレーションスペースはリラックスして語り合える明るい雰囲気としています。
設計者からの一言
この施設は交差点に面する角地にあり、背面に山を背負う非常に狭隘な敷地での計画です。高さ制限等の法的な制約や機能上の条件等難解ともいえるプログラムを何度も組み替えながら解決し実現することができました。
施設の特徴
映像ホールは35mm映写機、デジタルプロジェクター両方での投影が可能です。また、目や耳の不自由な方も楽しめるバリアフリー上映設備も整っています。演劇ホールは、可動式の舞台をはじめ、最新の照明と音響効果を備えた本格的な劇場仕様としています。エントランスには故今村昌平映画監督がカンヌ国際映画祭で受賞した「パルムドール」(グランプリ)のトロフィが寄贈され、展示されています。その他創作工房、録音編集室等も整備されています。
川崎市アートセンターは、新百合ヶ丘駅周辺地域の文化・芸術施設と連携し、個々の施設の独自性を活かしつつ、ネットワークを構築します。そして“しんゆり・芸術のまち”のシンボルとなるコア・センターとして、中心的なマネージメント機能を担うことをめざします
Photo:スタジオ・エフ