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(日本語) 2021年度グッドデザイン賞に、弊社が設計を手掛けた「ヒューリック両国リバーセンター」、「島原市庁舎」、「千葉大学アカデミック・リンク松戸」、「品川区後地小学校」、「東京都公文書館」、「ホエールタウンおしか」の6作品が選ばれました。
グッドデザイン賞 受賞
2021年のグッドデザイン賞を以下の6作品が受賞しました。
ヒューリック両国リバーセンター
講評
かつて東京は多くの運河や河川が流れる水都であったが、水害から居住域を守るために堤防が隈無く整備され、街と水辺の関係はほぼ断たれているのが現状である。このホテルと水上バス待合所整備のプロジェクトは、堤防の代わりとなって運河・河川からの溢水を止める機能を持つ建築を実現することで、街と水辺の豊かな関係を取り戻す試みである。具体的には既存の堤防はカットし、その代わりに水辺へ向かって降る階段状の土手を作ることで、本来は相反する「親水」と「防水」の機能を両立している。この親水堤防の上部には首都高速道路の高架が架かっているが、これも都市的な規模の軒先のように見えてくる。このように堤防や高架など、当たり前の様にそこにある都市インフラを再考・再編することは都市生活を豊かにする可能性を持っており、その先進的な試みとして高く評価した。
概要
- 所在地
- 東京都墨田区
- ホテルインテリア・FFE設計
- タイムレス
- 用途
- ホテル、飲食店、水上バス待合所、事務所、保育所、児童福祉施設
- 構造
- SRC、CFT、S造
- 規模
- 地上9階
- 延床面積
- 8,157.75㎡
- 竣工
- 2020年8月
島原市庁舎
講評
島原城や島原駅のあるエリアと商店街エリアの境界に位置し,それらを結節点としての広場で受け止めている.また,川床デッキも,両エリアからまちの裏側として扱われている川辺に意識を向ける場をつくり出している.市庁舎再整備をきっかけに,都市構造が接続し,川辺の環境を活かす都市整備や民間の動きにつながることを期待したい.
概要
- 所在地
- 長崎県島原市
- 共同設計
- INTERMEDIA
- 用途
- 庁舎
- 構造
- S造
- 規模
- 地上5階
- 延床面積
- 8,954.43㎡
- 竣工
- 2019年8月
千葉大学アカデミック・リンク松戸
講評
本プロジェクトは、下総台地の縁に位置する千葉大学園芸学部松戸キャンパスにおいて、建築とランドスケープが一体となって試みた、新たな学びの基盤づくりである。台地の頂部という立地特性を生かし、キャンパスの再統合を担う微地形を建築へと挿入し、施設内外で下流域への意識を促す空間体験を学生に提供している。施設の量を追求してきた画一的な整備手法と決別し、環境の質を提供すべきとした本キャンパス独自の整備手法を高く評価したい。世界規模で温暖化による自然災害や健康被害が増加する中、環境の持続性を司る地形や土壌の基盤づくりをキャンパス再編の軸に据えたプロジェクト関係者の英断を讃えたいと思う。
概要
- 所在地
- 千葉県松戸市
- 用途
- 大学施設
- 構造
- RC造
- 規模
- 地上4階
- 延床面積
- 2,674.90㎡(増築部:2,116.96㎡、改修部:557.94㎡)
- 竣工
- 2019年7月
品川区後地小学校
講評
都市の住宅密集地における小学校というプログラムに適切な回答を与えた建築である。十分な面積がとれない変形敷地だが、へた地となる部分を効果的に処理しつつ、教室群、体育館、プールを一体的に集約したヴォリュームにまとめた。特筆すべきは、ダイナミックかつ明るい4層吹き抜けの中央階段を挿入したこと。ここは賑わいが一気に可視化される場となるだろう。また全体の中央に位置する体育館を閉じた箱とせず、多孔質な空間とし、校庭と連携する広場的な性格も与えている。
概要
- 所在地
- 東京都品川区
- 用途
- 小学校
- 構造
- S、RC造
- 規模
- 地上4階
- 延床面積
- 7,839.74㎡
- 竣工
- 2021年1月
東京都公文書館
講評
公文書を保存・公開する特殊なビルディングタイプである。が、そのプログラムを周辺環境の特性をうまく読みとりながら、建築化したものだ。例えば、湧水脈を避けて、上階に持ち上げられた書庫、リン酸処理スチールパネルと二重壁構造による安定した保全環境、既存の樹木に対する構え。省エネの工夫に加え、太陽光発電も採用し、都有施設初のZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)も実現した、一方で「知の積層」というイメージが、インテリアのアーカイブウォールなどによって、巧みに表現されている。
概要
- 所在地
- 東京都国分寺市
- 用途
- 公文書館
- 構造
- SRC、S造
- 規模
- 地上3階
- 延床面積
- 10,259.594㎡
- 竣工
- 2020年1月
ホエールタウンおしか
講評
牡鹿半島の捕鯨のまちにおける震災復興のプロジェクトである。海沿いのダイナミックに湾曲する大きな切妻屋根のもとに、3つの異なるプログラムを収容し、まとまったヴォリュームにおさめられた。断面の形状にあわせて、各種のプログラムは配され、最大となる端部のホエールランドではクジラの巨大な骨格を宙に展示している。また捕鯨が最盛期だった頃の水産加工場や、クジラの外皮などのイメージが、外観のモチーフとなり、まちに新しい心象風景をもたらすことに成功した。
概要
- 所在地
- 宮城県石巻市
- 監修
- 小野田泰明、平野勝也(東北大学)、福屋粧子(東北工業大学)
- 用途
- 店舗、博物館
- 構造
- S造(観光物産交流施設Cottu、おしかホエールランド)、S、W造(牡鹿半島ビジターセンター)
- 規模
- 地上1階
- 延床面積
- 1,286.16㎡(観光物産交流施設Cottu)、858.59㎡(牡鹿半島ビジターセンター)、1,127.16㎡(おしかホエールランド)
- 竣工
- 2019年8月(観光物産交流施設Cottu)、2019年9月(牡鹿半島ビジターセンター)、2020年3月(おしかホエールランド)