DYNAMIC
GROUND

多様な活動を繋げる一つのグランドレベル

Street

多様な居場所とスムーズな移動を両立する人中心の街路

1: モビリティの変化を見据えた人中心の街路空間への転換

街路を車中心から人中心の空間に転換するうえで、車道を公共交通や歩道へ置き換えていくことが重要です。しかし、それは車道が持つ人員輸送能力を削減し、道路の役割を損なうものではありません。NACTO(全米都市交通局協会)の調査によると、モビリティごとの人員輸送能力では自家用車での移動が最も効率の悪い交通手段となっています。つまり、車道を公共交通や歩道に転換することは、むしろ街路の効率の良い利用につながるということです。大きなエリアでの公共交通の利便性の向上や普及を進めることは必要ですが、人中心の街路空間を作るには、車道を公共交通に置き換え、歩行者が使える空間を増やしていくことが重要です。

モビリティごとの一車線での人員輸送能力

自家用車よりも徒歩や公共交通のほうが1車道当たりの人員輸送の効率がはるかに良いということがこのダイアグラムから読み取れます。
出典:Blueprint for Autonomous Urbanism / NACTO(全米都市交通局協会)

実際にこの考え方を当てはめてみると、既存の街路空間をどのように転換することができるのでしょうか。車道が6車線の典型的な都市部の大通りを事例に考えてみます。中央分離帯を取り除き、BRTレーン、車道、自転車レーンに割り振ることで、通りの人員輸送能力を減らさずに、自家用車の交通量を減らし歩行者に優しい通りの環境を構築することが可能です。また、余った車道を転換することで歩行者空間も増えるので、より人々が滞留しやすくなり、交流も増えます。

車道を公共交通に転換した場合の試算

車道:1,000/HR ×6車線=6,000/HR
車道 :1,000/HR×2車線=  2,000/HR
BRT :6,000/HR×2車線=12,000/HR
自転車:7,500/HR×2車線=15,000/HR
27,000/HR

2: 様々なアクティビティのよりどころとなる街路空間

車道を公共交通に転換した場合の試算

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街路空間を考えるときには、道路部分だけではなく建物の道路に面した部分も同時に考えることが重要です。さらに飛躍させて、建物の1 階レベルと街路をシームレスにつなぎます。これまで、建物の中にあった空間が街路とつながり、開放されることで、多様な活動を生み出す余白がグランドレベル全体に作られます。そこに、ビジネス、商業、娯楽、コミュニティなどの活動を支える機能を埋め込むことで、グランドレベルが多様な交流を生み出す場所となります。