諫早市美術・歴史館
美術×歴史、内×外をつなぐ
2つの機能を2つの大屋根でつつむ
敷地北側の高城回廊や御書院など諫早の歴史遺産が隣接する場所に【歴史ゾーン】を、南側の市道高城上町線に面する場所に、【美術ゾーン】を配置し、その中央にエントランスホール等の【共用ゾーン】を配置することで、利用形態が異なる2つの機能を区分しつつ、2つの異なる形状の大屋根でつつむことで、一体感のある施設となることを意図しました。
日本の歴史的建築手法を現代的に解釈する
建物の内外では、現代の材料や工法を用いて日本の歴史的な建築手法を再現しました。町屋に見られる木の縦格子や、スタッコ塗りによる弁柄(べんがら)色の再現などです。こうした取り組みは、単なる歴史文化遺産の保存継承だけにとどまらず、これからの文化芸術振興の場となる施設の特性を建築デザインにも反映したものです。
活動・展示を内外につなぐ「プレゼンテーションウォール」
常設展示室(諫早の美)の展示ケースは、高城回廊や御書院の庭園を借景に展示物を鑑賞できるよう、ケースの外部側をガラススクリーンとしました。また、高城回廊を通る人々も外から展示物を鑑賞することもできます。ホールもアルミカーテンウォールに作品展示が可能な棚を設置することで、建物の内外から展示物を鑑賞でき、またホールでの活動の様子が外から感じられる場としました。
諫早の歴史・美を形にした常設展示室
常設展示室は、諫早の変遷・歴史・美・学習コーナーの4つのテーマに分けた展示空間となっています。「諫早の美」では高城回廊の緑豊かな景色を背景としたプレゼンテーションウォール、「諫早の学習コーナー」では、諫早の1日を表現した、時間により色の変わる照明など、この地ならではの空間づくりを目指しました。
設計者からの一言
サイン計画では立体的につくったピクトグラム(視覚記号)を用い、分かりやすさと親しみやすさをもたらすことを意図しました。
撮影者:水崎浩志(Loop Photo Creative)